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ポールオースターの小説に出てきた人物で、毎日、同じ場所、同じ時間の写真を長い期間をかけて撮り続けたという男がいた。
新しい場所を探し続けて、今日はアメリカ、明日はベトナム、と動き続けるのではなくて、ずーっと同じ場所にいて、写真を撮り続けること。
それもわかりやすい、派手な場所じゃなくて、人々の営みがある普通の場所で。
それに日付をつけて、丁寧に並べること。
小説はそういう視点で書かれていることが多い。
僕たちが得てきた価値観として、次々と新しいものを覚えるということがある。
新しい映画をみたり、新しい本を読んだり、 新しい言葉を覚えたりすることに価値を感じるように教育されてきた。
その行為はいわば、空間の横移動のようなものだ。
でも同じ場所で写真を撮り続けている男は時間の移動の軌跡を追っている。
時間の芸術を作っている。
僕たちの心も空間と時間を生きている。その心は、派手で、わかりやすい対象に向かいやすい。
でも、語るべきことは、実は、ごく平凡は日常を、「時間」の観点で見た時に現れる気がする。
ポールオースターは友人に向けたエッセイでも、人生を変えるためにというテーマで、毎日、同じ時間の同じ場所に行って、その変化を観察すること、その場所を自分のものとして大切にすること、綺麗にすること、と書いていた。
こだわって、同じ場所にいること。
目移りしやすくて、飽きやすい自分にとっては刺さる言葉だ。
ポールオースターが使っている、古いタイプライターのことを思いながら、丁寧に同じ場所にいることの大切さについて見直してみたい。
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人生を良くしたい!ってどれくらいの人が思っているのかわかりませんが、僕は結構本気で思っています。
でも、実際に何かしているかっていうとあまり何もしていません。
なっさけねー。何もしてないの?
って誰かに突っ込まれると、ちょっとムキになって、
いや、2ヶ月で15kg減量したよ!とか
友達と里山を再生する為のボランティアグループを立ち上げたよ!とか
言い返せるくらいの行動はしています。
でも、本当に、「おれはこれをやっている!」って胸を張って言えるものはまだありません。
というか、ダイエットは一旦成功したけれど、ほぼ元どおりの体重までリバウンドしたし、山仕事も一番頑張っているのは友達です。
そこで、今まで、僕の持ち味だと思っている、
①話すこと、聞くこと。
②聞いた話を深めていくこと。
③書くこと
を生かせる、誰かが本を書くお手伝いをするってことを始めようと思い立ちました。
このブログでは書くことのモチベーションを掘り起こせることを書いていきたいと思っています。